ロクガツノキゴ
わたしの唯一無二は早起きして東から西へ飛んでいく。
生き馬の目を抜くと呼ばれる花の都から、今となってはいにしえのかつての都にある村へと希望に乗って書簡のように往来するのだ。
わたしが西国にいる間に開かれた村へとたずねて、遠くからでも眺めていたいものだが、宮仕えのしがないやつがれに執務は降りかかり宝物のありかを感じることのみ神は許したもうた。
繰り返し白拍子のごとき子規。
その真の姿は高嶺の花か、苗代のすぐそばに咲く菖蒲か。
ほんとうは、ひっそりとした場所が好きなただ白い花なのさ。
わたしのしかばねになりつつあった魂は拾われた。