Sさんと話した夜
一昨日の晩は、これも約2年ぶり。
1日目の研修が終わり、五反田で合流した。
具合が優れなくて、浅草線沿線の自宅からわざわざお越し下さった事に別れ際にようやく気づいた。
自分の分からなさに嫌気がさす。
Sさんとは前職からのお付き合いで、別々の会社に居ながらも二人して職人さんを率いてよく旅仕事に出かけていた。15年くらい前からのお付き合いだが、今の職場に移ってからも時々会って話したりする仲。八つくらい先輩だ。
この晩も他愛ない話しに終始していたけれど、お酒が進むと避けられない話題がある。
わたしは、M氏とSさんが仲良しで、その世界の摂理に明るい事を前提に初めて或る話しをした。
Sさんの奥さんは元々女優で、大学で一緒だったM氏とその後も一緒に演出などをしていた。
M氏が再婚した奥様との赤ちゃんの写真をスマートフォンで見せられて、SさんとM氏の親交の具合が分かるのだった。M氏は次の大作ドラマの脚本でとても忙しくしているのだろう。
女優の前妻との離婚原因に特に興味など無かったが、世の中に出ている話しとは全く違う話しをしてくれた。
M氏は前妻を心から愛していたからこそ、最後まで、女優である前妻のイメージを守る事に苦心されたのだろうと思った。
Sさんは自分の奥様が女優であったこと、妹さんも歌手であったことなどを語りながら、
そして、『短期間の虚構は周りの人がいくらでも作れるけど、長い間やっていてそれでもその場所に立ち続けているならそれだけで凄いことだよ。いい女優さんなんだね。目指しているものがあると思うから、長い目で見て支えてあげられたら良いね』と言葉を残してくれた。
本当にわたしは何もできないけれど。
たくさん、君のいいところを話した。初めて人に話したよ。
君のこと。