ポラリスのふたり

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昨年の今頃は北海道にいました。


 弟子屈町にある、ぽらりす、という宿に泊まらせていただいたりしながら涼しく過ごしたのです。


 ぽらりすにはわたしより数年人生の先輩であるご主人が以前勤めていた会社のモーターサイクルが飾ってあり、50万km乗った自動車もまだ現役でした。

 

 きっと好きで働き始めた会社であるにも関わらず、自ら職を辞す境遇に陥った悲しみはいかばかりかと、食事の後にBARコーナーで奥様と話していて泣いてしまったのでした。


 でも、ご主人には素敵な奥様がいて、そこがわたしとは天と地ほどの差だな、としみじみ。


 余市で買っていた原酒をお土産に渡したら、帰りしなオレンジフレーバーのチョコレートと宮沢賢治の詩集を船旅のお供にと言ってお返しの別れでした。


 オレンジフレーバーのチョコレートは、私がBARで最初に頼んだのがバラライカであったからなのかな?

 それとも柑橘系のコロンをつけていたからかな?いずれにしても洒落ているよな、気が利いているなと。

 小さな宿だけれど、洗練されていてとても心が晴れやかな気持ちになれたのでした。


 単位として最小、人の最小単位は二人なのだな。ひとりはよくないなぁ。そのように感じさせるに充分な、素敵なご夫婦が営むハッピーな宿なのでした。

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