大事にして、大事にされる。

 心のひだを、はじめてぐっと動かされたのは。

 その現場での深刻だけれど他愛なく語られたエピソード。


 こいつはバカなやつなんだな。


 大雑把で、くよくよしないで、泣きたい時は微笑んで。反対側しか見せないで。

 泣く場所は寝台の上だけなんだろうなって。

 

 なぜかわからないけれど。

 すぐに分かってしまった。


 それからわたしは、15歳の男の子のようにただそれだけを考えるようになっていった。

 

 わたしもバカだから。


 でも急がないで行こうね。