コワイノ ヒトリダケ

 (いつから知ってんのよ?)


「は?知らないし、もともとあなた様がわたしの知り合い、仲良しだって紹介してた訳だし」


 (だからって、おかしいでしょ?許さない。あんたなんか途中のエスカレーターでズッコケて脚の骨を二、三本折って参加不能になればいいんだわ)


「ちょっとさぁ…あの事がなかったら今みたいになってないよ。際立った訳です。わかりますか?全然ふたりは違うし」


 (なによ、それ?分かんないこと言ってごまかさないでよ)


(いやいやいや…ちょっと待って…。あの、、あのね。オレ不沈艦だから。だから誰が前に立っても沈まないんです。その、来週の事はそういう事で伝えてあります。」


 (好きなくせに)


「……」


(わたしを…)


「わかりきってるだろーが。なんでまた最初からやり直しなの?」


(バカだから、あんたが、あなたが)


「揺れない。沈まない。こわいの君だけ」


 (バカなんだもん)


「嫌なんだ。キレイな顔してるのに、わざと変な顔するの。絶対におかしいよ。最高なのに。最初から同じこと言ってるのに」


(なんの話し?)


「オレが先に行ったとして、その先もふたりは仲良くしていて欲しいな、と。そういう話し。」


(なんかごまかしてる風だけど)


「もうね。泣き顔卒業したと思ったら仏頂面だから。コメディタッチに行こうよ。あれ、血液型占い嘘だな。」


(なんのこと?)


「本来おおざっぱなはずなんだけど。オレもそういう扱いしかされていないし」


(もう。うるさい。好きなくせに)


「ひっでーな。知らないからな…」


(わたしも。知らないから)


「同じ部屋にいて知るも知らぬもだよな。繰り返し延々だけど。」