熱い血

 普段は冷静沈着なのに、

ふとした事がきっかけで

思いきった行動に出てしまう。


 きっかけとしている事には

よくよく考えてみると、その

実はたいした理由はなくて、

それでも制約の壁を乗り越え

んばかりの熱を帯びて、

出来る限りの証しのような

ものを残そうとしてしまうのだ。


 何度もそんな場面に遭遇して、

呆れてみたり憤ってみたり。

 でも、不思議と爽やかでしっとり

としたローズマリーの香りと

泣いているのか微笑んでいるのか

わからないような、そんな不思議で

奇妙な安堵感だけが

後には残されていたりしていた。


 血が熱い。


 呆れたり憤ったりしながら、

平気なんだろうかと考えてしまう。


 動きを止めてみる。

 動けないだけかも。


その  魅入られた魂にくちづけを