夢① 送迎のトラウマ

・キーーーッ ハイエースのハイルーフリムジン仕様車が歩道沿いに急停車する。

 

明治通り沿いの歩道を歩いている男女

 ・女 肩掛けのバッグのひもを握り直し 歩みを止める

女「ごめん 送迎が来ちゃった」

 ・男と目線を合わさずすこし男の視線の下を向きながらも

すこしも悪びれていないクールな顔立ち

男「えっ 送迎って。これからどこいくの?」

 ・突然の切り出され方に動揺しつつ女の左半身越しに問いかける男

  女「どこって・・・現場」

 ・送迎車の方を見やり、首を回して顔だけ男のほうへ向かって

立ち去ろうとしている仕草の女

 ・男 黙って明治通り沿いの歩道での事の成り行きを見ているが

顔つきは今にも泣きだしそうなほど弱っている

 

 ・ガラララララ トン 送迎車の後部ドアが開く

  女「いくからね」

 ・運転手の方を見やり

  女「早く出して」

 ・シュウィーンーー カッタン トン 送迎車の後部ドアが閉まる

  送迎車 プライバシーガラスの為 中は全く見えない

 

 ・送迎車 明治通りへ走り去る

 ・男 右足を一歩引いて 呆然と女の乗った車を見送る背中

  男「こんな俺がまたひとりぼっち ってお前は中原中也か」

 ・男 ひとり言をごく小さな声でつぶやき 青山通りのほうへ向けて歩き出す

 

  はい あさが来た